――新選組コンサート会場。
今宵の宴を待つ
その先にある控室では、煌に応えるかのように、新撰組隊士の出陣が始まろうとしていた。
「
そのために、我ら新撰組は
大らかな雰囲気を滲ませつつも、眼光の鋭い男の声に、
黒い隊服に身を包んだ隊士たちの一糸乱れぬ返事が控室に響き渡る。
「はい!」
「
「はい!」
新選組の中でも着る事が許される者は数人しかいない、白い隊服。
その白い隊服が、黒い波の中で揺れ、
新選組副長土方歳三の力強い声が隊士たちの声を割る。
「先日の坂本たちでしょうか」
「そうだ。だがまあ、あいつらには感謝している。
局長、近藤勇は穏やかな笑みを湛え、どこか楽しんでいる風にすら見える。
「緩み……ですか?」
「トシ、そんな顔するな。オレは怒っているんじゃない。
奴らが現れたことで、壬生狼と呼ばれた頃のお前が帰ってきたんだ。
これからの新選組が楽しみでしょうがない。頼りにしているぞ」
「はい……!」
「……あれっ、今もしかして、土方さんが笑った……?」
土方と同じ白い隊服に身を包んだ美丈夫。
妖しいまでに潤んだ瞳は、自然に人の目を吸いつける。
優しさ、冷たさ、妖しさ、清廉さ、相反する感情を同時に映す瞳。
その瞳の焦点が、一瞬宙を彷徨う。
「うるさいぞ、総司」
「痛ーっ!」
「ぶつことないでしょー!」
「お前はいつも一言多いんだ」
「ははは!」
近藤の豪快な笑い声に子供のように、口を尖らせる沖田。
「ていうか、近藤さん!今日もまた、観客席に紛れてたでしょう」
「舞台袖からだと、おまえ達の活躍がちゃんと見られないだろう。
やっぱり、観るなら観客席だ!」
「近藤さんは局長なのにぃ」
「一線を退いたとはいえ、俺も新選組の隊士であることを忘れてないさ。
だが、この俺はおまえたち新選組一番の
「んもうー」
「……ふっ」
近藤と沖田のやりとりに思わず、頬が緩む土方。
「あっ、やっぱり笑……」
沖田が言い切る前に、神速で土方の右手が飛ぶ。
「痛ーっ!またぶった!いいかげん泣きますよ?いいんですか!?」
家族のような3人と隊士たち。
緊張の中にありながらも、くつろいだ彼らの表情が引き締まる。
膨らんだ観客の気持ちと熱気は、遂に舞台裏にまで波となって押し寄せ、
出陣の刻が来たことを知らせていた。近藤の右腕が、胸を叩く。
「さあ、
「総司、俺達の歌で幕府への忠義の心を奴らに、叩き込むぞ!」
「やれやれ、くだらない生き物を相手にする時間か……」
「総司!」
「分かってます」
「出陣だ!
(近藤さん、俺達の
「さあ……僕らの歌で彼らを音楽の
(土方さんと近藤さんが望むものが泰平の世ならば……どんな事をしても……それが僕の生きる証)
「おう!!!!」
まぶゆいばかりの光が、