このお話は、開発者の妄想です。
登場する「以蔵」は、没キャラのため、本編には一切、登場いたしません。
土佐、誰もが寝静まる子の刻。
「
ギターの爆音と共に、門を叩き壊し、乗り込んでくる人影。
「何者だ! 貴様、ここを新選組寝所と知っての
突然の侵入者のはずだが、素早く集まった衛士たちに動揺は無い。
その構えから、相当の手練れたちだと分かる。
「どこかはどうでもいい。以蔵的には、以蔵がいる場所、そこが
送ってやろう、
「貴様!」
一斉に刀を抜き、切りかかろうとした衛士たちが、耳を押えて蹲る。
「うわぁぁあああ!」
「これがオレの
今宵の
音の重圧が爆撃のように、衛士たちの脳を直撃する。
地面をのたうち回る衛士たちに追い打ちをかけるように、
さらにギターを激しくかき鳴らしていく。
「さあ、お前も
「やめろおおおっぉおおお!」
「これから、これからぁああ!うん?」
いつの間に来たのか、以蔵の目の前には、黒い隊服に身を包んだ男たちが整列していた。
収まらない門での騒ぎに、寝所から駆けつけた新選組隊士たち。
一糸乱れぬ動きは、手練れのはずの衛士たちでさえ、感嘆の声を漏らすほどだ。
「来おった、来おった、新選組」
舌なめずりをする以蔵の前で、隊士の波が割れ、白い隊服に身を包んだ隊士が現れる。
「煩いなあ。静かにしないと、その首はねちゃうよ」
「お……沖田様!た……助けて……」
「衛士でしょ? 情けないなあ………いいよ、助けてあげるけど、減点一。
二になったら切腹ね」
「そ、そんなぁ」
「新選組一番隊組長、沖田総司か!面白ぇ。
聞け!そして括目せよ!これがオレの、
一際ギターのリフが速くなり、激しい以蔵のバンキングに、
ギターに散りばめられたスワロフスキーが篝火を受け、煌めきを増していく。
「どうじゃぁあ!新選組!」
以蔵の自慢気な怪訝な表情へと変わる。
新選組隊士は誰一人として、微動だにする事もなく、以蔵の演奏と歌を聞き流している。
「うおぉおおお!」
全て壊れよとばかりに、激しさを増す演奏。だが、やはり新選組は微動だにしない。
「ふーん、その程度ね。そのくらいなら、自慢しないで欲しいな。
みんな、飛ぶよ。
両者の声は互いに押し合い、拮抗していたが、次第に以蔵の声と曲がかき消え、
星々の光さえも沖田のみを照らし出すかのように瞬く。
沖田と新選組の
以蔵はその場に膝を着いた。
「ぐわぁああ!ば、馬鹿な!このオレが!?」
「底が浅いね。君がやっているのは、僕らの猿真似。
「以蔵的音楽が
「あれ? 気づいてなかったの? 君の音楽はその力で自分の思う天国へ人を従わせようと
躍起になってるだけ。僕らの
似てるけど、君のは子供のお遊び」
よろよろと立ちあがった以蔵の眉間から、切れた弦がつけたのか、一筋の血が流れる。
口元にまで流れた血を一舐めした以蔵が、不敵な笑みを浮かべる。
「フフフフ、なんということじゃ、オレが、岡田以蔵が負けるとは………
しかし、しかし、よく分かったぜよ。相手にとって不足無し!沖田総司!
貴様は今日からオレの
今日はオレの負けじゃ、だが次は勝つ!さらば、
塀を乗り越え、逃げ去る以蔵を唖然と見送る衛士と新選組隊士たち。
「あれ、何なの?」
「………恐らく、今巷で騒がれている
「トサカくんといい、スカシくんいい、
何で
あーもうこんな時間だよ、今日のコンサートの準備しなきゃ。
さあ、みんな、
「おう!」
潮騒に朝日が煌めく砂浜に立つ以蔵の姿があった。
「龍馬、お前がオレを、以蔵的
まだまだお前には届かん。じゃが、いつかオレも京へ、お前に会いに行く。
もっと